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わたしが中国文学を翻訳するわけ-周国平から、余華、閻連科、林奕含まで
03-02 /14:30 - 16:00
無料 – ¥1,500.00【イベント紹介】
大学の第二外国語として中国語に出会った90年代の東京で、中国社会や中国文化を知りたくて現代小説の日本語訳を探しても、多くの図書館ではほぼ古典しか見つからず、専門書店にいかなければ手に入りませんでした。ノンフィクションもいいけれど、もともと小説好きだったわたしは、フィクションの世界でこそ味わえる文化や生活や感情の深いところ、中国の人々の喜怒哀楽を読みたかったのです。同じころ、北京、上海、台北、香港等中国語圏ではどこの書店でも目立つところに日本文学作品の中国語訳が驚くほどたくさん並んでいました。
それから約30年たった現在、『三体』の大ベストセラーに始まって、SF、華文ミステリーなど、中国の小説の日本語訳は少しずつ身近なものになりつつあります。とはいえ、人口比だけの問題ではなく、中国語から日本語への文芸翻訳、出版翻訳人材は常に不足しているのが現状です。また、過去に翻訳された名作・名訳の多くが、ほどなくして絶版となり、入手困難となっている例も少なくありません。
私自身がこれまでに翻訳した作品の多くは、中国簡体字版、繁体字版の原書が今でも入手可能で、書店でも目立つ位置に並んでいるような不朽の名作・ロングセラーばかりですが、その日本語訳はそうではありません。たとえば、余華『兄弟』、林奕含『房思琪の初恋の楽園』は中国語圏の人ならだれでも知っている大ベストセラー、ロングセラーですが、日本語訳は長らく入手できなくなっていました。この二作品が最近、それぞれ新たな形で復刊となったことは、とても喜ばしい出来事です。これまでのわたしの翻訳の経験をお話しさせていただくとともに、日本における中国文学翻訳の現状や課題について、みなさんと一緒に考えることができたら嬉しく思います。
【ゲスト紹介】
大学の第二外国語として中国語に出会った90年代の東京で、中国社会や中国文化を知りたくて現代小説の日本語訳を探しても、多くの図書館ではほぼ古典しか見つからず、専門書店にいかなければ手に入りませんでした。ノンフィクションもいいけれど、もともと小説好きだったわたしは、フィクションの世界でこそ味わえる文化や生活や感情の深いところ、中国の人々の喜怒哀楽を読みたかったのです。同じころ、北京、上海、台北、香港等中国語圏ではどこの書店でも目立つところに日本文学作品の中国語訳が驚くほどたくさん並んでいました。
それから約30年たった現在、『三体』の大ベストセラーに始まって、SF、華文ミステリーなど、中国の小説の日本語訳は少しずつ身近なものになりつつあります。とはいえ、人口比だけの問題ではなく、中国語から日本語への文芸翻訳、出版翻訳人材は常に不足しているのが現状です。また、過去に翻訳された名作・名訳の多くが、ほどなくして絶版となり、入手困難となっている例も少なくありません。
私自身がこれまでに翻訳した作品の多くは、中国簡体字版、繁体字版の原書が今でも入手可能で、書店でも目立つ位置に並んでいるような不朽の名作・ロングセラーばかりですが、その日本語訳はそうではありません。たとえば、余華『兄弟』、林奕含『房思琪の初恋の楽園』は中国語圏の人ならだれでも知っている大ベストセラー、ロングセラーですが、日本語訳は長らく入手できなくなっていました。この二作品が最近、それぞれ新たな形で復刊となったことは、とても喜ばしい出来事です。これまでのわたしの翻訳の経験をお話しさせていただくとともに、日本における中国文学翻訳の現状や課題について、みなさんと一緒に考えることができたら嬉しく思います。
【主な翻訳作品】
『ニュウニュウ-18か月で娘を失った哲学者の至上の愛』
(周国平・著/毛丹青・監訳/PHP研究所/2003年)
『衛慧みたいにクレイジー』 (衛慧・著/講談社/2004年)
『ブッダと結婚』 (衛慧・著/講談社/2005年)
『水煮三国志』 (成君憶・著/呉常春・共訳/日本能率協会マネージメントセンター/2005年)
『水煮西遊記』 (成君憶・著/呉常春・共訳/日本能率協会マネージメントセンター/2006年)
『さよなら、ビビアン』(安妮宝貝(アニー・ベイビー)・著/小学館/2007年)
『兄弟』(余華・著/文藝春秋/2008年)
『水の彼方 Double Mono』(田原・著/講談社/2009年)
『兄弟』(余華・著/文藝春秋・文春文庫/2010年)
『悲しみは逆流して河になる』 (郭敬明・著/講談社/2011年)
『恵恵 日中の海を越えた愛』(恵恵・岡崎健太・付楠・著/文藝春秋/2014年)
『紫禁城の月上: 大清相国清の宰相陳廷敬』
(王躍文・著/東紫苑・共訳/メディア総合研究所/2016年)
『炸裂志』(閻連科・著/河出書房新社/2016年)
『あの頃、君を追いかけた』(九把刀・著/阿井幸作と共訳/講談社2018年)
『房思琪の初恋の楽園』(林奕含・著/白水社/2019年)
『兄弟』【復刊】 (余華・著/アストラハウス/2021年)
『太陽が死んだ日』(閻連科・著/谷川毅・共訳/河出書房新社/2022年)
『房思琪の初恋の楽園』【復刊】(林奕含・著/白水社Uブックス/2024年)
翻訳中及び出版予定の作品
『少年の君』(玖月晞・著/新潮社 2024年)