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Asian Talk 084 “生活のなかの哲学”とは?――日本文化をとらえ直す 鶴見俊輔(1922-2015)の探求――漫画と反戦をつなぐもの
09-08 /14:30 - 16:00
無料 – ¥1,500.00【イベントテーマ】
Asian Talk 084
“生活のなかの哲学”とは?――日本文化をとらえ直す
鶴見俊輔(1922-2015)の探求――漫画と反戦をつなぐもの
【ゲストプロフィール】
嘉指信雄(KAZASHI Nobuo)
哲学者。神戸大学名誉教授。大連理工大学客員教授(2019-2022)。広島市立大学客員研究員(2020-)。哲学博士(イェール大学)。比較哲学与近現代日本思想専門。編著『西田哲学選集5 歴史哲学』(燈影舎、1998年),『核のない未来を』(核被害者フォーラム, 2022年), INTERFACE, Vol. 24, Hybrid Culture in the Technology-Mediated World,2004 Summer。主要な論文「原点从再思考反核・平和思想―平塚雷鳥・丸山眞男・森瀧市郎」訳:陳詩雨(『日本哲学与思想研究』中国・社会科学文献出版社, 2017年),「ヒューマニズム”の行方 戦争の時代に問い直す――鶴見俊輔と京都学派」(西田哲学会年報、2024)。受賞歴 William James Award (American Philosophical Association, 1993); 平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞(2007年, 共編『ウラン兵器なき世界をめざして――ICBUWの挑戦』に対して)。
劉争(りゅうじゅん)
比較思想学者。関西国際大学国際コミュニケーション学部准教授。主な研究分野は戦後日本思想と中国の近代思想。日中比較思想の観点から書かれた加藤周一研究を日本と中国で刊行した(『「例外」の思想―戦後知識人・加藤周一の射程―』現代図書、『例外的個体―論加藤周一及其思想』知識産権出版社)。
【イベント情報】
司会・通訳・コメント: 劉争(関西国際大学准教授)
ゲスト: 嘉指信雄(神戸大学名誉教授、広島市立大学客員研究員)
使用言語:中国語・英語・日本語
開催形式:対面&Zoom
日時:2024年9月8日(日)14:30-16:00
場所:単向街書店・東京銀座店
東京都中央区銀座1-6-1
形式:日本語トーク・全席自由
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入場券事前購入:ポスターのQRコード、ホームページ
当日券購入:店頭レジ
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費用:1500円
上部「Get Tickets」のボタンをクリックし、購入画面へお進みください。
お客様都合での払戻しは一切承ることができませんのでご了承ください。
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単向街書店・銀座店の年間会員は無料
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お問い合わせ:インスタグラム公式アカウント、電話0362630116。
◎年間費会員33,000円/年(税込)
年間費会員申込コード
【会員特典】
1、番号付き会員カード
2、ドリンク無料券12枚の進呈
3、イベント無料参加
【イベント紹介】
今回は、現代日本の思想界を先導した一人である鶴見俊輔に光を当てる。戦中から戦後の日本の歴史と深く絡み合ったその思想と実践の軌跡は、前回取り上げた加藤周一によって「真に例外的」なものと称されたように、きわめて特徴的なものとなっている。その功績は、(ディス・)コミュニケーション論や民主主義論、転向論や近代日本思想研究、反戦・市民活動など多岐にわたる。残された著作や対談録なども膨大だが、今回はとくに、“漫画”や“漫才”などの日本の大衆芸術を、自由な精神の発露・実践として高く評価した先駆的考察、とりわけ、『漫画の戦後思想』(1973)や『太夫才蔵伝――漫才をつらぬくもの』(1979)に焦点を当てる。
こうした大衆芸術や、より広く言えば、「生活のなかの哲学」への着目には、若き日のアメリカ留学で鶴見が学んだ、「思想のこり(硬直)を解きほぐす(unstiffening)方法」としてのプラグマティズムの精神や、太平洋戦争中のインドネシアで強いられた苦い軍務経験が大きく関わっているが、それは、“もののあはれ”や“わび・さび”とは異なる、日本文化のもう一つの系譜の再評価ともなっている。
時間がゆるせば、以上のような考察の意義を、日中の思想文化の差異・交流の観点からも提起してみたい。日本の文化・芸術に精通していた周作人(1885-1967)は、エッセイ「日本の落語」(1936)のなかで、「中国の文学や美術には滑稽の要素が余りに乏しいように思われる。日本の鳥羽僧正の戯画のようなものが中国には現れなかった。だから我々の間には今も漫画の作れるものがいないのである」と書いている(『日本談義集』(日本語訳、2002) 。アニメが国境を超えて制作・享受されている現在、状況は大きく変わっているが、両国の歴史における儒教文化のあり方の違いとも関係している問いかけといえよう(参照:土田健二郎『江戸の朱子学』2014)。
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