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#AsianTalk037 蘇る林達夫―20世紀日本を代表する思想家の政治的「したたかさ」に学ぶ―
02-03 /14:30 - 16:00
無料 – ¥1,500.00【イベント紹介】
林達夫[1896-1984]の名前は、#Asian Talkに関心を抱く高い水準の読書人のあいだでさえ、ほとんど知られていないでしょう。しかし、加藤周一[1919-2008]より以前に平凡社『世界大百科事典』編集長を務めた林は、前世紀の人文学の世界において、丸山眞男[1914-1996]等と並び、最高の知性の一人と目されていました。
とはいえ、仏語、独語、英語以外にも複数の言語に通じた西洋派知識人の凄みは、1930~40年代の天皇制ファシズム期を「無傷」で潜り抜けた政治的「したたかさ」にこそあります。林は、小林秀雄[1902-1983]を始めとする文学者や哲学者と異なり、軍部と際どい関係を保ちながらも、対外侵略戦争に積極的に関与せず、批判的な文章を書き、絶妙なタイミングで休筆するなど、例外状況下における模範的態度を示したのです。
渡邊一民『林達夫とその時代』中国語版の刊行を機に、翻訳を監修した人文学者の王前と、集英社『アジア人物史』編集長にして『林達夫 編集の精神』を著した落合勝人が、忘れられた思想家の今日的な意味と可能性について、存分に語り合います。
【活動情報】
ゲスト:落合勝人、伏怡琳
日時:2024年2月3日(土)14:30-16:00
場所:単向街書店・東京銀座店
住所:東京都中央区銀座1-6-1
形式:日本語トーク
自由席:40席
参加費:1500円
単向街書店・東京銀座店の年間会員は無料
【ゲストプロフィール】
落合勝人(おちあい かつと)
1969年生まれ。集英社新書編集長。 93年、集英社に入社し、文芸書、小説すばる等を経て、2001年より新書編集部に在籍。 姜尚中著『悩む力』をはじめ多数の新書や単行本を手掛ける。 仕事の傍ら思想史を学び、19年、法政大学大学院政治学研究科博士後期課程修了(政治学博士)。 博士論文をもとにした『林達夫 編集の精神』(岩波書店)が初めての単著。
伏怡琳
復旦大学日本語日本文学科卒業、早稲田大学文学研究科修士
日本文学翻訳家。『国宝』(吉田修一著)、『第七官界徘徊 : 尾崎翠短編小説集』、『侵入者』(安部公房著)、『ロックママ』(角田光代著)、『彼らは別の場所で自在に』(小川洋子著)、『阪急電車』(有川浩著)などを翻訳。
【関連書籍】
林達夫の編集の精神(岩波書店)
出版:2021年8月
関東大震災と戦争による圧倒的な崩壊を前に、人の弱さへの痛切な思いに貫かれた思想家は、ある独特な行動に乗りだした。『歴史の暮方』『共産主義的人間』を著した林達夫の〈編集者〉としての側面に光を当て、その生涯を描き直した力作。彼にとって書籍の周囲を編み直すことは、小さな社会の編成と同義であったのだ。